2007年02月21日

閑話休題【健介オフィス】旗揚げ戦の思い出③ただのプロレス。

第三試合
【TAKE THE DREAM~夢を掴め】
佐々木健介vs中嶋勝彦

 休憩を挟んでのメイン。本来はセミからの流れで盛り上がりのピークをメインに持っていくのが妥当で、こういうパターンは客の気持ちが仕切り直しになって勢いが途絶えがちになってしまう。今回は、それがない。休憩までの流れが良かったのと、健介、勝彦へのレスラーとしての信頼があるからだろう。俺などは気持ちが途切れるどころか、いよいよのメインを前に、一息ついて気合を入れ直してさえいた。他の客の多くも近しい状態じゃあなかったかな。
 休憩明けはお馴染みとなったスクリーンでのカード解説。健介、勝彦のレスラー人生を、しつこくなく淡々となぞる。WJ消滅も眼下底骨折も、不必要な悲壮感を煽らない。師弟対決を親子対決になぞらえる。「巨人の星」にもなぞらえ、辛気臭くなることを阻止する。会場のテンションも天井を突く。

 勝彦、入場。堂々としていた。健介の胸を借りに行く顔ではなかった。健介の首を刈る顔だった。

閑話休題【健介オフィス】旗揚げ戦の思い出③ただのプロレス。

 健介、入場。猛々しかった。いい試合をしようとする顔ではなかった。倒しにいく顔だった。

閑話休題【健介オフィス】旗揚げ戦の思い出③ただのプロレス。
 
 ゴングが鳴る。ほぼ同時に相手に突っ込んだ。勝彦が攻める。それ以上に健介が攻める。健介の手首を取り、ロープに振ろうとしても、健介は振られない。勝彦の思い通りに薦めさせない。勝彦は執拗に腕を狙う。太い。関節を取るにも、形にさえ入れない。鬼の顔が二つ。鬼の体が二つ。鬼の叫びが二つ。やがて、勝彦が劣勢に。蹴っても蹴っても、倒れない。逆にただ、倒される。勝彦がロープに跳んだ。ハイキックを正面から放つ。健介が、ラリアットで蹴りを受けた。鳥肌が立った。涙腺がばっくり開いた。言葉が出なかった。俺は、比較的五月蝿く応援するタイプの客だ。「蹴れ」とか「こらえろ」とか「投げろ」とか「絞れ」とか。無責任にそういうことを言えないと感じた。「頑張れ」と言うことさえ、無責任過ぎると感じた。ただもう、ひたすらに凝視していた。
 勝彦が負けた。試合は終わった。凄かった。他に言いようはない。凄かった。

閑話休題【健介オフィス】旗揚げ戦の思い出③ただのプロレス。

【円陣】

 全試合が終わり、リング上で健介がマイクを握った。訥々と挨拶をする。新日時代からマイクパフォーマンスは悪い方に定評のあった健介だけに、ちょっとだけ会場の空気が心配気になった(気がする)。北斗を呼び竜志を呼び三島を呼び、「円陣を組みます」と言う健介にファンが「後の二人も呼んでやれ」と叫ぶと、「よし、入れ!」と返す。健介オフィスのフルメンバーがリングに揃う。がっちがちの固い顔で新入団の起田・宮原が円陣に入る。健介の音頭で叫びが上がる。
 花道を引き上げていく健介ファミリーを一人ずつ見送る。勝彦が、感極まったのかもたもたしている。健介欠場の昨年、勝彦はたった一人で健介オフィスを守ってきた。もしかしたら、健介以上に万感の思いがあったのかもしれない。たった一人でリングには上がった。けれども後ろには北斗がいて健介がいて、スタッフさんがいて、新人もいて。円陣を組む直前にちらと見えた笑顔に、何故か俺はほっとした。

【全体の感想】

 本物。帰り道、言葉が出なかった。出ても「凄かった…」だけ。圧倒的だった。たった三試合なのに、満足した。満足と言う言葉はうそ臭い。言葉にならない感動。
 考えてみれば、この大会、いわゆるヒールは一人も出ていない。位置づけでは村上がそれに当るのだろうけれど、実質、村上はコワモテなストロングスタイル的ではあってもヒールではない。更に、健介オフィスとしての試合は二試合ともシングル戦。何のギミックもない。掛け値ない体一つでの試合。ただのプロレス。本当にそれだけだった。ただのプロレスだった。それが、こんなにも感動する。

【雑記】

・帰りに物品販売ブースで、連れがタオルを買った。竜志くんが売り子をやっていた。手際が悪くて、タオルを袋に入れるのももたついていた。初々しくていいなぁ。「頑張ってね、応援してるから」と言うと、いい顔で「ありがとうございます」。デビュー戦、観に行くから、頑張れ。
・京平さんがメインのレフェリーをやっていた。あの人は片一方の選手に、微妙に肩入れする時がある。今回は当然、勝彦に肩入れをしていた。勝彦が関節にいくと「もっと引っ張れ」とか怒鳴っていた。大概は笑いが起きるんだけど、今回は、京平さんのそれに乗っかって、勝彦応援の空気が過熱した。面白い不思議な現象だった。
・無理をしていない、でもできる限りのことをやった興行だったと思う。豪華なカードを集めるでもなく、笑いに逃げるでもなく、誠実にプロレスをプロレスとして観せてくれた。そんな感じがする。
・でもグッズは何かこう、ちょっとした小物も欲しいかな…バッジとかストラップとか…扇子は再販予定ないみたいで寂しい…。
・オープニングの和太鼓、そこまで意図しているかどうかはともかく、メインの「健介・勝彦対決」に繋がる構図になっていた。あそこで開幕の和太鼓を一緒に叩いていた二人が、鬼になって殴り合う…すごいドラマチック。

※当記事は姉妹ブログ「横道プロレス」http://ameblo.jp/tosaneko/に掲載予定されたものです


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Posted by せりざわ at 09:00│Comments(3)トピックス
この記事へのコメント
はじめまして、わがわがと申します。

プロレス大好きです。立ち上げ興行みたかったなあ。
三島も認められたみたいですし、良かったです。

中嶋は全日で近藤からジュニア取りましたね。まだ、取れるとは思ってなかったので、意外でした。でもいいプロレスするもんね。彼は。
彼はしばらく、ベビーなんでしょうけど、何かの拍子に・・・ヒールに、という展開も期待しちゃいます。

静岡プロレスがんばれ!!
Posted by わがわが at 2007年02月21日 13:57
>わがわがさま
はじめまして。
よろしくお願いします。

取りましたねぇ、ベルト。私も、善戦はしても…どうかなぁと思っていました。一報を聞いたときは思わず涙腺が…。でも、相手の近藤さんは私の同郷(同市)なので、ちょっと複雑でもあります。
中嶋くんのヒール化…きたらびっくりっすね。孝行息子が突然グレたっていう…そういう流れなら寧ろ新弟子の竜志くんの方が…

>静岡プロレスがんばれ
応援ありがとうございます!
ぜひ大会がある際には覗いて下さいね。
Posted by ザ☆セリザワ at 2007年02月21日 23:53
是非是非、静岡プロレス行きたいです。

ちなみに、闘龍門JAPANとバトラーツがお気に入りでした。今は、流れでドラゴンゲートかな?

ドラゴンゲート出身者がんばってますね。本当に素晴らしい。中嶋に負けたけどコンドッティ好きですね。

また、ブログにおじゃましまーす
Posted by わがわが at 2007年02月23日 02:46
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